海外移住で税金は安くなる?税金対策の資金移動で損をしないコツとは

海外移住を検討する人の中には、日本より税金や生活費が安い国を選ぶ、税金対策も兼ねて憧れの海外移住を目指す人も多いでしょう。しかし、実際に税金が安くなるかどうかは移住先や資産管理方法次第です。また、フリーランスや日本国内に収入がある方にとって、移住後の税金対策や税に関する知識は必須となるでしょう。
非居住者の条件を満たさずに中途半端な対応をすると、逆に二重課税や予期せぬ税負担が発生する可能性があります。本記事では、海外移住を考える方が資産を安全に移動し、税金面で損をしないための具体的なポイントを解説します。

海外移住で税金を安くするためには、居住国の選定や資産の海外移転、フリーランスとしての節税戦略が重要です。特に、日本より税率の低い国を選ぶことや、海外の資産運用環境を活用することで、効率的な資産管理と節税を目指せます。
居住国の選定による節税
居住国の選定は海外移住における税金対策の基本です。国によって所得税や資産税の水準が大きく異なり、シンガポールやマレーシア、タイなど税率が比較的低い国に居住することで、日本と比べて大幅な節税が期待できます。
また、収入が多い人はモナコやドバイなど所得税がゼロ、または極めて低い国に移住することも選択肢に入るでしょう。ただし、各国の生活費や医療環境など、税金以外の要素も考慮した上で慎重に判断する必要があります。
資産移動を活用した税金対策
海外移住における有効な税金対策のひとつとして、資産を海外へ移動する方法があります。日本国内で資産運用を続けるよりも、海外の金融機関を利用したり、海外不動産への投資を行ったりすることで、節税効果が期待できます。
また、海外のオフショア口座や信託を活用すれば、資産にかかる税負担を軽減しつつ、安全に管理することが可能です。ただし、資産移動の際には日本側の国外送金規制や現地での資産運用に伴う課税ルールなどに十分配慮する必要があるため、事前に専門家のアドバイスを受けておくと安心です。
フリーランスにおける海外移住での税金対策
フリーランスが海外移住をする場合、税金対策は特に重要です。日本の非居住者となることで、日本国内で得た収入に対する課税が一部免除される場合があります。また、居住する国によってはフリーランスに対する税制が優遇されており、より高い節税効果が得られる可能性があります。
しかし、日本での収入を完全に非課税とするためには、日本の居住者要件を満たさないよう配慮しなければなりません。二重課税や予想外の税金が発生しないよう、移住前に国ごとの税務制度を把握し、対策を立てておく必要があります。
非居住者になるための具体的方法

海外移住によって、日本から見て「非居住者」になることで、日本国内の所得に対する課税負担を大きく軽減できます。ただし、日本の税法上、非居住者と認められるには一定の条件や手続きを満たさなければなりません。定義がどのようなものなのか、また、必要な手続きについて解説します。
非居住者の定義と基準
非居住者とは、日本の所得税法上「国内に住所や居所を有していない個人」を指します。日本の税務上、非居住者になるための主な基準として「183日ルール」があり、1年間のうち183日以上を海外で過ごすことが求められます。
非居住者として認められるためには、この基準を満たすだけではなく、生活拠点や家族の居住状況、資産の所在地なども総合的に考慮されます。日本に頻繁に帰国したり、日本に住宅を残している場合は、非居住者として認められない可能性があるため注意が必要です。
非居住者になるための手続き
非居住者になるためには、まず日本の住民票を海外転出届によって抹消し、正式に海外転出の手続きを行う必要があります。また、日本の金融機関などに対して非居住者届を提出し、資産運用や送金に関する口座の扱いを変更します。
資産を海外に移動する際は、国外送金等調書の提出や、送金時に必要な書類の準備が必要です。さらに、日本国内で不動産や収入がある場合は、非居住者としての確定申告手続きを日本で行う必要があるため注意しましょう。
非居住者になった後の税務上の対応
非居住者になった後も、日本国内に一定の所得がある場合、引き続き日本で確定申告をする義務があります。特に、日本に保有する不動産の賃貸収入や株式の配当金などが該当します。
また、非居住者は日本国内の税額控除や各種控除の適用範囲が居住者と異なるため注意が必要です。さらに、移住先の国での税金の申告や二重課税防止条約の適用など、現地でも税務対応が求められます。手続きを漏れなくスムーズに進めるためにも、すぐに相談できる専門家を見つけておくとよいでしょう。
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海外移住による税金対策のデメリット

海外移住による税金対策はメリットもある一方で、見落としがちなデメリットも存在します。節税を意識しすぎてかえってコストや手間が増えてしまう、予期せぬ課税リスクに直面するケースもあるため注意が必要です。ここでは、海外移住による節税対策で起こりがちなデメリットについて解説します。
海外移住による二重課税のリスク
海外移住をしても、日本国内に収入や資産が残っている場合、移住先と日本の双方で課税される「二重課税」のリスクがあります。たとえば、日本で不動産収入を得ており、移住先でもその収入に対して申告が必要とされるケースでは、同じ所得に対して二重に課税されることがあります。
多くの国は日本と「租税条約」を締結しており、この条約により一定の所得はどちらか一方の国でのみ課税されるよう調整されますが、租税条約の細かな取り決めや適用範囲は国ごとに異なるため、移住を検討している国の税制については、事前に確認しておくと安心です。
また、移住後に税金の申告や税額控除の手続きを怠ると、想定外の課税や罰則が科されるリスクもあります。事前に条約内容を把握し、ペナルティが課せられないよう専門家の助言を得るのもひとつの方法です。
資産移動にかかる手数料と税金以外のコストがかかる
海外に資産を移動する際には、税金以外にもさまざまなコストが発生します。たとえば、銀行間の国外送金には高額な手数料がかかる場合があり、為替手数料や中継銀行のチャージなども無視できません。
また、海外での口座開設や金融商品の契約には、初期費用や維持費がかかることもあります。さらに、不動産や信託を活用した資産移転では、登記費用や管理料といった継続的な支出が生じます。
これらのコストを軽視すると、期待した節税効果が相殺されてしまう可能性があるため、資産移動の前には必ず総費用を見積もり、収支シミュレーションを行うことが重要です。
現地での生活費や税務コストも考慮した資産運用計画が必要
海外移住によって税率が下がるとしても、現地での生活費や税務関連のコストを考慮しなければ、想定よりも負担が増える可能性があります。特に物価の高い国では生活費がかさみ、節税による効果が薄れてしまうこともあります。
また、現地の会計士や税理士への相談費用、複雑な申告手続きに伴うコストも発生する場合があります。国によっては、資産の保有や送金に対して課される税が存在するため、長期的な視点で総合的な資産運用計画を立てることが重要です。
節税を目的とした海外移住であっても、全体のコストとリターンをしっかり比較検討することが支払い負担額を抑えるカギとなります。
海外移住による税金対策は計画性が大切

海外移住の目的が、税金対策だけというのも寂しい感じですが、税金対策を重点においた海外移住は、居住国の選定や資産の移動、非居住者としての手続きなど、慎重な計画を立て、税金の正しい知識が必要です。節税効果が大きい一方で、二重課税や資産移動に伴うコスト、現地での高額な住宅費や生活費など見落としやすいリスクも多く存在します。
特にフリーランスや日本に収入源がある方にとっては、非居住者の条件を満たすかどうかで税負担が大きく変わるため、移住前の準備が非常に重要です。また、海外移住や海外拠点を確保することは楽しいことだけではありません。仮に突発的な万一が発生してしまうと、日本とは大きく相続ルールが違うため、ご家族が突然路頭に迷うこともゼロではありません。このような失敗を防ぎ、家族や資産を守るためには、税務・法務に詳しい専門家のサポートを受けるのが最も確実な方法です。
OSSJでは、香港やHSBCを中心とした海外金融のお悩みに対し、豊富な経験を持つスタッフがサポートを提供しております。さらに、税制や法的な手続きに関しては、専門家をご紹介し、より的確なアドバイスを得られるようお手伝いいたします。まずは、お気軽にお問い合わせください。
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