海外移住前の準備・手続き・やることまとめ!銀行・証券・保険・クレジットカード・税金を解説

「長期の海外赴任が急に決まった…」
渡航まで時間は限られているうえに、事前の準備や手続きは山ほどあって大変です。海外移住を計画している方も同様に、出国前に日本で済ませておくべきことは多くあります。
なかでも、お金関係の手続きは時間がかかるもの、代理人を選任する必要があるものなどがあり、難しさや複雑さから労力がかかりがちです。

今回の記事では、海外転勤や海外移住する方のために、出国前にしておくべき金融関係の手続きを6種類にわけて解説していきます。漏れのないように手続きしていきましょう。

1. 国外転出届
2. 銀行口座
3. 証券口座
4. 保険
5. クレジットカード
6. 税金

1年以上の海外転勤や海外へ移住する場合、引越し前にお住まいの市区町村へ「国外転出届」を提出する必要があります。

届出人 本人 / 世帯主 / 同一世帯の方
届出期間 出国予定日の14日前~
届出に必要なもの 窓口で手続をする人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)

届出は出国する本人または世帯主、同一世帯の方が、出国予定日の14日前から提出できます。役所の窓口で手続きをする方は本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど)を持っていきましょう。
また届出を忘れて国外へ転出してしまった方は、転出後14日以内に郵送で手続きをしてください。14日を過ぎた場合には過料に処せられる場合があります。
手続きの詳細は該当する市区町村のHPなどであらかじめ調べておくと間違いないでしょう。

なお、仕事で1年以上海外に暮らす方、あらかじめ1年以上の滞在予定で出国する方は所得税法上「非居住者」となり、非居住者になると税金関係や銀行口座などの扱いに影響があります。
この記事では海外転勤や海外移住で非居住者になることを前提として、各種手続きについて説明していきます。

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2. 銀行口座

出国後も利用できる日本のおもな銀行は次の6行です。

非居住者が利用できる日本の銀行は多くありません。また非居住者が利用できる銀行でも、一般的には取引に制限がかかります。
非居住者に対応していない銀行口座は解約しましょう。もし移住後も使える銀行口座を新たに開設していく場合は、転出届を提出する前に手続きをします。
また口座を維持できる場合も、取引できる内容を確認したうえで必要な手続きをおこないましょう。具体的には非居住者口座への変更、海外のATMでもお金を引き出せるキャッシュカード・デビットカードの作成、海外送金できるようインターネットバンキングの設定などです。
海外に移住しても利用できる日本の銀行口座については下記記事でくわしく解説しています。

3. 証券口座

日本の証券会社の多くは、法令諸規則の関係で非居住者の口座開設・取引に対応していません。口座を維持できる場合でも、銀行と同様に条件つきでの継続となります。
いくつか例を見てみましょう。

【マネックス証券】

“海外赴任等の理由により、法令の定める「非居住者」に該当する場合、証券総合取引口座を「解約」していただくか、当社が認める範囲で「休眠口座」として口座を継続することができます。”

引用:お客様へのお願い | 会社情報 | マネックス証券

【野村證券】

“出国に伴い特定口座は廃止していただく必要があり、特定口座のお預りは一般口座へ払い出しされます。ただし、出国前および帰国時に一定のお手続きを行っていただくことで、払い出しされたお預りを再度、特定口座に組み入れることが可能です。詳細は、お取引店までお問い合わせください。”

引用:野村證券|海外転勤することになりました。特定口座の預かりを継続して保有することはできますか?

【楽天証券】

 

口座を維持できる証券会社でも、新規の注文はできない、売却のみできるなど、取引は大幅に制限されるケースが一般的です。
口座を持ち続けるかどうかよく考え、維持 / 廃止の手続きをおこなっていきましょう。

4. 保険(海外駐在保険・海外赴任保険)

海外赴任で海外に長く住まれる方は、海外駐在保険や海外赴任保険への加入をおすすめします。国外に出る理由は様々ですが、現地での医療事情、保険事情が把握できるまでは必ず日本出国前に「海外旅行保険」に加入しておいてください。
なぜなら国によって医療制度が大きく異なり、万が一のときの医療費が高額になる可能性もあるためです。

よく耳にする失敗話がワーキングホリデーなどで海外へ行き、現地到着後に体調を崩して入院をしてしまうようなケース。「もしものときは現地でどうにかなるだろう」と思い、日本出国の際に何の保険にも加入せず、泣く泣く大きい金額をカード決済、、という事例も存在します。
このような痛い経験をしないためにも、「事前に調査」するか「まずは旅行保険を3ヶ月分加入」するなどしてから出国をするよう心がけましょう。

また旅行と違って長期滞在の場合、家財や携行品への損失にも備えておく必要があるでしょう。
海外赴任者・長期滞在者は、海外旅行保険に必要な補償を特約などで追加していく形で加入します。代表的な補償内容をピックアップしたものが下表です。

補償項目 内容
治療・救援費用 病気やケガでの治療、家族が現地にかけつけた際の補償
賠償責任 他人にケガを負わせたとき、物を壊してしまったときの補償
携行品損害 身の回りの持ち物が盗まれた / 壊れたときの補償
生活用動産 家財や身の回りの持ち物が損害を受けたときの補償

すでに日本で加入している生命保険・医療保険も事前に手続きをおこない、保険料の支払いをきちんとおこなえば海外渡航後も有効です。あわせて手続きを忘れないようにしましょう。


海外駐在保険・海外赴任保険についての詳細は次の記事をご覧ください。

5. クレジットカード

クレジットカードで注意すべきポイントは、郵送物の届く住所が日本国内にあるかどうかです。なぜなら、カード会社によっては利用明細や更新後の新しいカードの郵送を国内のみに限定しているためです。手元にあるカードを海外に持っていく場合にも、新規で契約する場合にも影響します。


家族が国内に残る、実家で郵送物を受け取れる場合は問題ありませんが、郵送物を海外で受け取りたい場合は選択肢が限られます。
今使っているカードを海外に持っていきたい方は、まずカード会社に確認を。日本で新しくカードをつくっていく場合は、三井住友カードまたはJALカードが海外の住所にも対応しています。渡航前に申し込みましょう。


また非居住者となるにあたって銀行口座を整理した場合は、クレジットカードと銀行口座の紐づけもしっかり確認した方がよいでしょう。
海外渡航時におすすめのクレジットカードについて、くわしくは下記の記事をご覧ください。

6. 税金(所得税・住民税)の申告

最後に、所得税と住民税の扱いについて解説します。

所得税

給与所得者で確定申告をする必要のある方は、納税管理人を選定しておきましょう。
納税管理人は確定申告書の作成・提出、納税などの手続きを代理でおこなってくれる人です。個人でも法人でも指定できますが、確定申告書の作成を代理でおこなえるのは税理士のみのため、税理士に依頼しておくと安心です。


もし納税管理人の届出をせずに出国する場合は、渡航前に確定申告・納税をすませる必要があります。
ご自身が確定申告をする必要があるかどうかは下のフローチャートで簡単に確認できます。

住民税

住民税はその年の1月1日時点で都道府県・市区町村に住所がある方が課税対象です。2023年7月に海外へ転出した場合、2023年度分の住民税を納める必要があります。
給与天引きで納税されている方は、勤務先が残りの住民税も給与から徴収して納めてくれるかもしれませんので担当部署に確認しましょう。

給与から徴収できない場合や年度当初から個人で納税している方は、出国前に納税をすませるか、納税管理人を定めて役所に届出を提出します。
所得税・住民税に関する手続きについてくわしく知りたい方は参考記事をご覧ください。

まとめ

海外赴任・海外移住で非居住者となる場合、役所・銀行・カード会社・税務署などでさまざまな手続きをおこなう必要があります。
銀行や保険、カードについてはWebで調べたり、利用している金融機関に問い合わせたりすれば解決できるでしょう。つまずきやすいのは税金関係です。確定申告が必要かどうかの判断が難しい場合もあるかもしれません。


渡航まで時間が限られているならとくに、有識者のサポートを受けることも選択肢のひとつです。OSSJでは専門家のご紹介も含めたサポートをおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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