香港の相続手続き完全ガイド|プロベートの実務と事前準備【2026年版】
香港に銀行口座や保険契約を持つ日本人は少なくありません。しかし、万が一のことが起きた場合、日本の遺産分割協議書を香港の銀行に持っていっても、口座の解約はおろか残高の照会すらできないことをご存じでしょうか。香港では裁判所の命令(Grant)取得が必須であり、外国人は香港の弁護士を代理人に立てなければ手続きすらできません。本記事では、日本弁護士・香港弁護士の両資格を持つ絹川恭久弁護士の実務経験をもとに、香港特有のプロベートの実態と今からできる事前準備を解説します。
この記事でわかること
- 香港で遺産分割協議書が通用しない理由と、裁判所命令(Grant)取得の流れ
- 香港のプロベートにかかる期間の実態と日本の相続税申告期限との深刻なギャップ
- 銀行口座残高照会の実務手順と、公正証書遺言で香港プロベートに臨む際の注意点
目次
- 香港の相続制度の基本 ― 遺産分割協議書だけでは相続できない
- 香港のプロベート手続きの流れ
- 香港のプロベートにかかる期間 ― 10ヶ月以内の完了はほぼ不可能
- 香港の銀行・証券会社への口座残高照会の実務
- 公正証書遺言で香港のプロベートに臨む場合の注意点
- 香港の相続税はゼロ ― ただし日本側の課税に注意
- 香港に資産を持つ日本人が今すぐ準備すべき5つのこと
- 香港資産の相続対策は「元気なうちに」始めるべき理由
香港の相続制度の基本 ― 遺産分割協議書だけでは相続できない
香港では裁判所の命令(Grant)取得が必須
香港の法制度はイギリスのコモンロー(英米法)に基づいています。香港の相続で最も重要な原則は、裁判所の命令(Grant)を取得しなければ、相続手続きを一切進められないということです。
日本では、遺産分割協議書と戸籍謄本を銀行に提出すれば預金を引き出せます。しかし、香港の銀行や証券会社にとって、日本の遺産分割協議書は「法的根拠のない私的な合意書」にすぎません。香港では、裁判所が発行するGrant of Probate(プロベート付与書)またはLetters of Administration(遺産管理状)がなければ、口座の解約どころか残高の照会にすら応じてもらえないのが現実です。
遺言の有無で手続きの主体が変わる
香港のプロベート手続きでは、遺言書の有無によって手続きの主体が異なります。
- 遺言書がない場合: 裁判所が遺産管理人(Administrator)を選任し、Letters of Administrationを発行する
- 遺言書がある場合: 遺言書で指名された遺言執行者(Executor)が申立てを行い、Grant of Probateを取得する
いずれの場合も、裁判所の命令なしには手続きを進めることができません。遺言書があれば「プロベートが不要」になるわけではなく、手続きがスムーズになるという効果があります。
外国人は本人申立て不可 ― 香港の弁護士代理が必要
日本人の遺族にとって特に重要なのが、香港では外国人は本人申立てができないという規則です。プロベートの申立ては、必ず香港の弁護士(ソリシター)を代理人に立てて行わなければなりません。
日本の弁護士や司法書士では代理人になれません。香港の弁護士資格を持つ者による代理が必須です。したがって、香港に資産がある場合の相続手続きでは、日本と香港の両国の弁護士が関与することになります。
| 比較項目 | 日本の相続手続き | 香港の相続手続き |
|---|---|---|
| 法体系 | 大陸法(民法) | 英米法(コモンロー) |
| 相続の開始 | 死亡と同時に相続人が権利取得 | 裁判所の命令(Grant)取得後に初めて手続き可能 |
| 必要な手続き | 遺産分割協議書の作成 | プロベート(裁判所への申立て) |
| 裁判所の関与 | 原則不要 | 必須 |
| 外国人の本人申立て | 制限なし | 不可(香港弁護士の代理が必須) |
| 金融機関への提出書類 | 遺産分割協議書+戸籍謄本 | Grant of Probate+死亡証明書 |
| 所要期間 | 1〜3ヶ月 | 6ヶ月〜1年半以上 |
| 遺産税 | 相続税あり(最高税率55%) | なし(2006年廃止) |
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香港のプロベート手続きの流れ
ステップ1 ― 遺言書の有無の確認と申立て準備
被相続人が亡くなった後、最初に行うべきことは遺言書の有無の確認です。
遺言書がある場合:
遺言書で指定されている遺言執行者(Executor)が、香港の弁護士を通じて裁判所にGrant of Probateの申立てを行います。遺言書は原本を裁判所に提出する必要があります。
遺言書がない場合:
相続人の中から遺産管理人(Administrator)の候補者を決め、香港の弁護士を代理人としてLetters of Administrationの申立てを行います。
申立てに必要な主な書類:
- 死亡証明書(Death Certificate)
- 遺言書の原本(ある場合)
- 被相続人と申立人の関係を証する書類(戸籍謄本の英訳+公証)
- 遺産の概算リスト
- 申立人の身分証明書(パスポート等)
- 宣誓供述書(Affidavit)
日本人の場合、戸籍謄本の英訳と公証が必要になるため、書類準備だけで1〜2ヶ月かかることも珍しくありません。
ステップ2 ― 裁判所への申立てとGrant取得
必要書類が揃ったら、香港高等法院(High Court)の遺産検認登記処(Probate Registry)に、香港の弁護士を通じて申立てを行います。
裁判所が書類を審査し、問題がなければGrant of ProbateまたはLetters of Administrationが発行されます。この審査には通常2〜4ヶ月程度かかります。
ただし、相続人間で分割方法に争いがある場合は、プロベート自体を進めることができません。争いが解決するまで手続きは停止し、期間は大幅に延びます。
ステップ3 ― 遺産の調査・債務清算・分配
Grant取得後、人格代表者は以下の業務を遂行します。
遺産の調査と回収:
Grantを各金融機関に提示し、口座残高の照会と解約手続きを行います。不動産がある場合は、土地登記処(Land Registry)での名義変更も必要です。
債務の清算:
被相続人の債務を遺産から支払います。香港では遺産税が廃止されているため遺産税の支払いは不要ですが、所得税(個人利得税)の精算は必要な場合があります。
残余財産の分配:
すべての債務を清算した後、残った財産を遺言書の指定(または法定相続分)に従って相続人に分配します。
香港のプロベートにかかる期間 ― 10ヶ月以内の完了はほぼ不可能
標準的なケースでも最短半年から1年半
絹川弁護士の実務経験に基づくと、香港のプロベートは問題なく進んだ場合でも最短で半年から1年半かかります。ほとんどの案件では10ヶ月以上を要するのが現実です。
| ケース | 期間の目安 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 最もシンプルなケース | 6〜9ヶ月 | 遺言書あり、資産が銀行口座のみ、相続人間に争いなし |
| 標準的なケース | 9ヶ月〜1年半 | 複数の金融機関、戸籍謄本の英訳・公証に時間 |
| 複雑なケース | 1年半〜2年以上 | 不動産あり、相続人が複数国に居住、争いあり |
| 相続人が高齢(80歳代等)の場合 | 最短4〜5ヶ月 | 特急対応が認められることがある |
高齢の相続人への特急対応でも最低4〜5ヶ月
相続人が80歳代など高齢の場合、手続き完了前に相続人自身が亡くなるリスクがあるため、裁判所に特急対応(Expedited Grant)を求めることが可能です。しかし、特急対応が認められた場合でも最低4〜5ヶ月はかかります。
日本の相続税申告期限(10ヶ月)との深刻なギャップ
ここで深刻な問題が浮上します。日本の相続税の申告・納税期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
しかし、香港のプロベートがほとんどのケースで10ヶ月以上かかるということは、10ヶ月以内に香港の銀行口座の預金を回収して相続税の納税資金に充てることはほぼ不可能であることを意味します。
つまり、香港に預金があっても、日本の相続税の納税資金としてはまったくあてにできないのです。相続税の納税資金は、香港の資産とは別に、日本国内で準備しておく必要があります。
これは、香港に多額の金融資産を持つ日本人が生前に必ず認識しておくべき重要なポイントです。
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香港の銀行・証券会社への口座残高照会の実務
香港のプロベート手続きにおいて、多くの日本人遺族が苦労するのが銀行口座の残高照会です。絹川弁護士の実務経験に基づく、残高照会の実態を解説します。
ホットラインでは残高を教えてもらえない
日本の感覚で銀行のホットライン(電話窓口)に問い合わせても、口座残高を教えてもらうことはできません。香港の銀行は個人情報保護の観点から、電話での残高開示には一切応じません。
レターによる残高照会の手順
実務上、残高照会はレター(書面)を銀行に発送する方法で行います。
- 被相続人の死亡証明書のコピーを添付
- 相続人としての関係を証する書類を添付
- 銀行の遺産管理部門(Estate Management Department)宛てに送付
なお、Grant of Probateの取得前であっても、残高照会については応じてくれる銀行もあります(口座の解約・払い戻しにはGrant of Probateが必須ですが、残高の確認だけなら対応してくれるケースもあるということです)。
弁護士に残高照会だけを依頼する方法
プロベート手続き全体を弁護士に依頼すると高額になりますが、残高照会の手続きだけを弁護士に依頼することも可能です。これはプロベート全体を依頼するよりも安価に済みます。
たとえば、相続税の申告に必要な海外資産の評価額を確認するためだけに、残高照会のみを弁護士に依頼するというケースがあります。
原本提出は不要 ― Certified Copyで対応
銀行への書類提出において、戸籍謄本や死亡証明書の原本を提出する必要はありません。弁護士やNotary Publicが認証したCertified Copy(認証謄本)で対応できます。
原本は相続手続き全体を通じて必要になる場面が多いため、安易に提出せず手元に保管しておくことが重要です。
公正証書遺言で香港のプロベートに臨む場合の注意点
香港在住の日本人や香港に資産を持つ日本人が、日本で公正証書遺言を作成しているケースは少なくありません。しかし、この公正証書遺言を使って香港のプロベートを行う場合、いくつかの固有の課題があります。
日本語遺言の全文英訳が必要
当然ながら、日本語で書かれた公正証書遺言をそのまま香港の裁判所に提出することはできません。遺言書の全文を英訳し、翻訳の正確性について公証を受ける必要があります。
公正証書遺言は独特の法律用語や形式で書かれているため、翻訳には専門的な知識が求められ、翻訳・公証費用も相応にかかります。
原本の提出問題 ― 公証役場保管のため正本・謄本で対応
香港のプロベートでは遺言書の「原本」の提出が求められますが、日本の公正証書遺言の原本は公証役場に保管されています。手元にあるのは「正本」または「謄本」です。
このため、香港の裁判所に対しては、公正証書遺言の正本または謄本をもって原本に代えて提出することになります。この点について裁判所に追加の説明や証拠書類を求められる場合があり、手続きが煩雑になることがあります。
法人遺言執行者の制限
日本の公正証書遺言で、信託銀行などの法人を遺言執行者に指定しているケースがあります。しかし、香港のプロベートでは、法人遺言執行者に関して制限がある場合があります。
香港の裁判所が法人遺言執行者を認めるかどうかは個別の判断になるため、遺言書作成時に注意が必要です。
推奨 ― 日本と香港で別々の遺言書を作る
以上の課題を踏まえると、日本と香港で別々の遺言書を作成することが最も実務的な解決策です。
- 日本法に基づく遺言書: 日本国内の資産のみを対象。公正証書遺言が最も確実
- 香港法に基づく遺言書: 香港所在の資産のみを対象。香港の弁護士に依頼して作成
2通の遺言書を作成することで、翻訳の手間、原本提出の問題、法人遺言執行者の制限といった課題をすべて回避できます。2通の遺言書が互いに矛盾しないよう、対象資産の範囲を明確に書き分けることが重要です。
香港の相続税はゼロ ― ただし日本側の課税に注意
香港の遺産税廃止(2006年)
香港では2006年2月11日以降の相続について遺産税(Estate Duty)が廃止されています。香港での相続手続き自体に関して、香港側で遺産税を支払う必要はありません。
日本居住の相続人に課される相続税
ただし、日本の相続税に注意が必要です。日本の相続税法では、相続人が日本に居住している場合、被相続人の全世界の資産に対して日本の相続税が課されます。香港の資産も例外ではありません。
「香港に相続税がないから税金はかからない」は誤解です。日本居住の相続人が香港の資産を相続する場合、日本で相続税の申告・納税が必要になります。
| 項目 | 香港 | 日本 |
|---|---|---|
| 相続税 | なし(2006年廃止) | あり(最高税率55%) |
| 基礎控除 | ― | 3,000万円+600万円×法定相続人数 |
| 申告期限 | ― | 死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内 |
| 課税対象 | ― | 日本居住の相続人は全世界資産が対象 |
| 二重課税防止 | ― | 外国税額控除あり(香港は税額ゼロのため実質適用なし) |
そして前述のとおり、香港のプロベートは10ヶ月以上かかるのが通常であるため、香港の銀行口座から資金を回収して相続税の納税に充てることはほぼ不可能です。相続税の納税資金は別途準備しておくことが不可欠です。
\海外口座の解約や、お金のお困りごとなら/
香港に資産を持つ日本人が今すぐ準備すべき5つのこと
1. 香港法に基づく遺言書を作成する
香港に資産がある場合、日本の遺言書とは別に、香港法に基づく遺言書(Hong Kong Will)を作成することを強くおすすめします。
香港法に基づく遺言書があれば、遺言執行者がスムーズにGrant of Probateを取得でき、日本語遺言の全文英訳や原本提出の問題を回避できます。遺言書がない場合はLetters of Administrationの取得にさらに時間がかかり、法定相続分に従った分配となるため、被相続人の意思が反映されません。
作成時の注意点:
- 香港の遺言書には「香港所在の資産のみを対象とする」旨を明記する
- 日本の遺言書と互いに矛盾しないよう対象資産の範囲を書き分ける
- 2名の立会人(Witness)の署名が必要(香港遺嘱条例の要件)
2. 保険契約の受取人指定を確認する
香港で保険契約を締結している場合、受取人(Beneficiary)が正しく指定されているかを確認してください。受取人が明確に指定されていれば、保険金は受取人に直接支払われるため、プロベートを経る必要がありません。
受取人が指定されていない場合や、受取人が先に亡くなっている場合は、保険金も遺産の一部としてプロベートの対象となります。定期的な受取人情報の見直しが重要です。
3. 口座・資産情報を家族と共有する
香港の銀行はGrant of Probateなしには口座情報を一切開示しません。ホットラインに電話しても教えてもらえません。被相続人がどの金融機関に口座を持っているかを家族が知らなければ、手続きは大幅に遅延します。
以下の情報を「資産リスト」としてまとめ、信頼できる家族と共有しておきましょう。
- 銀行口座(銀行名・口座番号・おおよその残高)
- 証券口座・投資口座
- 保険契約(保険会社・証券番号・受取人)
- 不動産(所在地・権利証の保管場所)
- その他の資産(安全金庫・暗号資産など)
4. 共同名義口座の活用を検討する
配偶者がいる場合、銀行口座を共同名義(Joint Account with Right of Survivorship)にしておくことで、一方が亡くなった際に生存者が自動的に口座の全額を取得できます。プロベートは不要です。
ただし、共同名義口座にはデメリットもあります。
- 一方の当事者が全額を引き出せるリスク
- 日本の相続税の計算上、口座全額が被相続人の財産として扱われる可能性
- 贈与税の問題が生じる可能性
メリット・デメリットを踏まえた上で、専門家に相談しながら検討してください。
5. 日本と香港の両方に対応できる弁護士を見つけておく
前述のとおり、香港では外国人は本人申立てができず、必ず香港の弁護士(ソリシター)を代理人に立てる必要があります。また、日本側の相続手続きも並行して進めるため、日本と香港の両国の弁護士関与が必須です。
問題が発生してから弁護士を探すのでは遅いため、あらかじめ信頼できる専門家とのつながりを持っておくことが理想的です。日本の弁護士や司法書士では香港のプロベートの代理人にはなれないことを、事前に認識しておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 香港には相続税がないのに、なぜ手続きが必要なのですか?
相続税の有無と相続手続きの要否はまったく別の問題です。香港には相続税はありませんが、英米法に基づくプロベート手続きは依然として必要です。プロベートは「誰が遺産を管理・分配する権限を持つか」を裁判所が認定する手続きであり、税金とは関係なくすべての相続で求められます。Q2. 香港の銀行口座の残高が少額でもプロベートは必要ですか?
香港では、遺産の総額がHKD 150,000(約300万円)以下の場合、正式なプロベート手続きの代わりに簡易手続き(Confirmatory Grant)を利用できる場合があります。ただし、この閾値は遺産の「総額」であり、個別の口座残高ではありません。複数の口座の合計がHKD 150,000を超える場合は正式なプロベートが必要です。Q3. 日本で作った公正証書遺言は香港でも有効ですか?
一定の条件を満たせば有効と認められる可能性があります。ただし、公正証書遺言で香港プロベートに臨む場合、遺言書の全文英訳、原本(正本・謄本)の提出問題、法人遺言執行者の制限など複数の課題があります。確実を期すなら、日本の遺言書とは別に香港法に基づく遺言書を作成することを強くおすすめします。Q4. 香港のプロベートは10ヶ月以内に終わりますか?
ほとんどの場合、10ヶ月以内に完了することはありません。問題なく進んでも最短で半年から1年半かかります。これは日本の相続税申告期限(10ヶ月)と深刻なギャップを生みます。つまり、香港の銀行口座預金を相続税の納税資金に充てることはほぼ不可能であるため、納税資金は別途日本国内で準備しておく必要があります。Q5. 香港のプロベートは日本から手続きできますか?
手続き自体は香港の弁護士に委任して進めることが可能です。委任状(Power of Attorney)を作成し、香港の弁護士に代理権限を付与すれば、日本から香港に渡航せずに手続きを進められるケースがほとんどです。ただし、宣誓供述書の作成など一部の手続きは在外公館や公証人を通じて行う必要があります。Q6. 日本の弁護士や司法書士に香港の手続きを依頼できますか?
できません。香港のプロベートでは、香港の弁護士資格(ソリシター)を持つ者のみが代理人として手続きを行えます。日本の弁護士資格や司法書士資格では香港の裁判所で代理人になることはできません。日本側の相続手続きは日本の弁護士・司法書士が担当し、香港側は香港の弁護士が担当するという、両国の専門家による連携が必要です。Q7. プロベート手続き中に香港の口座が凍結されますか?
被相続人が亡くなったことを銀行に通知した時点で、口座は事実上凍結されます。Grant of Probateが発行されるまで、誰も口座からの引き出しや送金を行うことはできません。凍結期間中の口座維持手数料等は引き続き発生する点にも注意が必要です。香港資産の相続対策は「元気なうちに」始めるべき理由
香港の相続手続きは、日本の仕組みとは根本的に異なります。遺産分割協議書が通用しない、裁判所命令なしには銀行残高すら確認できない、外国人は香港弁護士なしに手続きできない、そして手続きに半年から1年半以上かかる。これらの現実を知らなければ、ご遺族に大きな精神的・経済的負担がのしかかります。
特に深刻なのは、日本の相続税申告期限(10ヶ月)と香港のプロベート期間のギャップです。香港の銀行口座から資金を回収して相続税の納税に充てることはほぼ不可能であり、納税資金は別途準備しておかなければなりません。
香港に資産を持つ日本人の方は、以下の3つのアクションを今すぐ検討してください。
- 香港の口座・保険・不動産の情報を「資産リスト」にまとめ、家族と共有する
- 日本と香港で別々の遺言書を作成し、公正証書遺言の課題を回避する
- 日本と香港の両方に対応できる弁護士を、元気なうちに見つけておく
「もしもの時」の備えは、元気なうちにしかできません。
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参考情報:
- 絹川恭久弁護士コラム「香港では遺産分割協議書だけでは相続できない」「香港のプロベートにかかるおおよその時間」「香港の銀行・証券会社への口座残高の照会」「公正証書遺言のプロベート(香港の場合)」(silk-stream.com)
- 香港遺産条例(Probate and Administration Ordinance, Cap. 10)
※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。
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