【2023】香港にある海外口座の資産を相続するには?正しい手順から必要書類まで徹底解説!

「亡くなった親の遺産が香港口座に入ったまま」
「香港口座の資産を相続する方法が分からない」

このようなお悩みをよくご相談いただきます。
今回は、香港口座にある資産を相続するために必要な手順や書類について解説しています。

まず、「香港口座に親の遺産が入っている」という問題の背景として一時期流行った「香港金融視察ツアー」というものがあります。

その概要と問題点を見てみましょう。

香港金融視察ツアーとは

香港金融視察ツアーは、世界有数の金融都市である香港を訪れ、金融商品を検討する機会です。特に1996年に日本で金融に関する大規模な規制緩和が行われたことから、日本と距離の近い香港の金融商品に注目が集まり、金融視察ツアーが盛り上がりました。

香港金融視察ツアーの問題点

投資家たちから人気を得た金融視察ツアーですが、いくつかの問題も浮上し、今になっても悩む人が後を絶ちません。

主に以下のような悩みを持つ方が多いです。

  1. 金融視察ツアー代理店との連絡が取れない
  2. 購入した金融商品が元本割れしてしまった
  3. 口座開設後にサポートがなく口座を放置してしまった

当時香港で金融商品の購入や口座開設をした人々は、現在高齢化しており、上記のような悩みとともに相続手続きの問題に直面しています。

香港口座にある資産の相続方法は?

香港口座にある資産を相続するには、多くの手続きが必要になります。
というのも、香港口座にある遺産を動かす前には「プロベート手続き」と呼ばれる手続きが必要なのです。
プロベート手続きとは、香港裁判所による検認手続きのことであり、相続手続きとも呼ばれます。

プロベート手続きもふまえて、香港口座にある遺産を相続する方法を以下の手順に沿ってお伝えします。

ではそれぞれ解説します。

手順1:口座資産の残高確認

香港口座に資産を保有している方が亡くなった場合、相続手続きを行うためには、まず口座の残高を確認する必要があります。

相続税や相続にかかる費用が資産残高より高くなってしまう場合があるのです。
まずはどのくらいの資産が口座にあるのかを把握しておくとよいでしょう。

手順2:必要な書類の用意

口座残高を確認し、相続を受けると決めた場合には必要な書類を揃えていきましょう。
先述した「プロベート手続き」を行うためには現地の裁判所に申立書を送る必要があります。

一般的に、香港裁判所に提出する申立書には以下の書類を添付します。

そのほか、

などが必要となる場合もあります。

手順3:プロベート(検認)手続き

書類が準備できたら、プロベート手続きに進みましょう。

プロベート手続きは、一般的な日本の相続手続きと異なります。
遺産をまず財団に預け、その後、裁判所が指名した代表者が遺言書の有効性を確認。
相続人を特定したのちに遺産の分配や申告納税手続きを行います。

プロベート手続きが完了するまでは相続人であっても香港の財産を自由に動かすことはできません。
また、プロベート手続きの対象は香港に所在する財産のみであり、日本の財産は関与しないので覚えておきましょう。

手続きにかかる時間は、どちらの手続きも短くて1年程度、場合によっては3年以上かかるため、根気よく取り組むことが重要です。

遺言状がある場合

プロベート手続きは遺言の有無によって対応が異なります。

遺言がある場合、遺言において指定された「遺言執行人」が、裁判所に対し被相続人の遺産管理と清算の許可を申請します。
遺言執行人が申請を行い、裁判所からプロベート(検認)付与を受けた後に被相続人の財産を遺言通りに分配する手続きが可能です。

遺言状がない場合

被相続人が遺言を残さなかった場合、遺産管理人の申請手続きが必要です。
選任された遺産管理人は裁判所から遺産管理状を取得し、被相続人の財産を管理・清算する役割を担います。

また、遺言がない場合においては、先に述べた必要書類に加えて、該当する相続人が遺産を承継することに反対する者がいないことを宣誓した書面が必要です。

海外口座も日本の相続税がかかる?

海外口座資金の相続でも日本の相続税が発生する可能性があります。
現地の税金とあわせて二重に支払わなければならないケースもあるのです。

たとえば、被相続人・相続人のどちらかが日本国内に住んでいる場合、かつ海外移住年数が10年未満の場合は、海外に資産があっても日本国内の税制が適用され相続税が発生します。
日本在住の子が、海外在住の親の遺産を相続する場合でも、日本の相続税が課税されるため注意が必要です。

例)・親子ともに日本国内に在住
   →相続税が発生
  ・子は日本に在住、親は5年前から海外移住し亡くなる
   →相続税が発生

一方で被相続人・相続人ともに海外移住して10年以上経っている場合、海外にある資産には日本の税制は適用されません。

例)・親も子も海外移住して15年
   →日本の相続税は発生しない

二重で税金が発生してしまう場合には、外国で納付した税金を控除する「外国税額控除」の手続きを行うことで二重課税を防げる可能性があります。しかし、控除額の計算や対象となる資金の範囲が複雑なため専門家に相談することをおすすめします。

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香港口座の凍結を避けるには

たとえばHSBC香港では、24カ月以上資金を動かさずにいると口座が凍結されてしまいます。
故人の口座にあとから気づいた場合凍結されていることも多いでしょう。

口座が凍結されてしまっていると手続きはさらに難解になります。
口座の持ち主が高齢になってきたら以下の凍結防止策を実施しておくとよいでしょう。

HSBC香港の口座凍結解除方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。凍結の可能性がある方はあわせてご確認ください。

共有名義口座にしておく

共有名義とは、名義人を2名設定できる制度です。
もともと単独名義で開設した口座を共有名義に変更することもできます。

このとき、口座名義人と共有名義人が親族である必要はありません。
手続きを行う際は特別な契約をしない限り、片方の名義人のサインのみで手続きを進められます。
共有名義にしておけば、相続発生後にプロベート手続きを経ずに口座の名義を共有者へ移せるのです。

ただし、共有名義を設定するには名義人2名で香港の現地銀行窓口へ向かわなければなりません。

存命中に口座解約して残金を日本へ送金しておく

資産が遺産となる前に香港の口座から日本の口座へ送金しておくのも1つの方法です。
為替レートを見計らって日本円に換金しておくのもよいでしょう。

まとめ:香港口座の相続は複雑!専門家に相談するのがおすすめ

今回は、香港口座にある遺産を相続する場合の手続きについてお伝えしました。
香港での遺産相続は手続きが難しいことが分かりますね。


専門家に相談するのが最も確実で安心です。

今から予防策で対応できる場合には、ぜひ相続が発生する前に資産の確認と対策を実施しておきましょう。

もしお手続きでお困りの際はOSSJまでお気軽にお問い合わせください。

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