海外資産5,000万円を超える方は要注意!資産を持つ人が対応すべき「国外財産調書制度」とは

国内の富裕層の方は海外に資産を移し、課税を逃れようとする事案があります。
そこで、国税庁は税制改正により海外資産に関する調査を年々強化しています。

本記事では、こうした海外資産の税制を強化する背景や海外資産を守る方法について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

日本人の海外資産は5兆円を超えている

国税庁が発表した「令和3年度分の国外財産調書の提出状況について」によると海外の総財産額は約5兆6,364億円(前年度+6,710億円)を超えているとのことです。

財産を種類別に見ると、有価証券が2兆9,361億円(構成比59.1%)、預貯金7,244億円(構成比14.6%)、建物4,530億円(構成比9.1%)となり、有価証券の割合が過半数を締めております。

これからも国内の物価高の影響でインフレが進み円安が加速すると、海外移住を含め、海外資産はこれからも増加傾向になると言えます。こうした背景から国税庁における海外資産を調査する活動は年々強くなっていくと言えるでしょう。

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海外資産5,000万円を超える人が対応するべきこと

日本居住者の方で、海外資産5,000万円を超える資産をお持ちの方は「国外財産調書」を税務署に提出しなければなりません。例えば、2013年の$1=100円時代に米ドル建ての資産運用を海外で3,000万円で購入・スタートし、運用が順調だった場合、2023年の現在では円安の影響もあり、知らないうちに『円ベースでの評価額が5,000万円を超過』している事も多いので注意が必要です。

国外財産調書制度とは?

国外財産調書制度とは、日本の居住者が各年末時点で海外資産の合計額が5,000万円を超える方は、税務署に報告しなければならない制度です。

国外財産調書の提出が必要となるのは日本居住者の方で、その年の12月31日において、時価ベースとして国外財産を5,000万円超を保有している個人です。

居住者とは、日本国内に住所を有する方、または1年以上居住を有する方を言います。
提出が不要になる「非永住者」とは、居住者であるが外国籍の方であり、過去10年間日本国内に住所を有していた期間が5年以下の個人のことです。

海外資産に含まれるもの

国外財産調書における財産の対象物は、土地、現物・預金、有価証券(株式、投資信託等)が該当します。海外に自宅、マンションを所有している場合、かつ、資産価値が5,000万円を超える場合には国外財産調書の対象となります。

国外財産調書への記載事項について

国外財産調書には、提出者の氏名・住所・マイナンバーに加え、国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載することが必要です。また、不動産に関しては「用途別」の記載欄があり、一般用及び事業用を区別、かつ所在地別での記入が必要になります。

海外資産の借入について

海外資産は財産のみで「債務」は含まれません。しかし、こういったケースには勘違いが多く、特に注意が必要です。例えば、海外において5,000万円以上で借入を行い、5,000万円超えのマンションを購入したとします。この場合、海外資産5,000万円超えのマンションを保有していることになり、国外財産調書の提出が必要になります。損益通算は出来ませんので気をつけましょう。

海外資産の不動産の評価について

海外資産の不動産の評価については、毎年12月31日時点で変更がありますので、時価評価を算定し直さなければなりません。
また、為替レートによっても評価が変わるため注意が必要です。

海外の不動産の相続税評価方法

海外の相続における不動産評価については、2つ算出方法があります。

売買実例価格での算出

売買実例価格とは、現実に売買されている価格を言います。
日本では路線価に基づいて土地の評価を行いますが海外(韓国を除く)にはございません。

ですので、現実に売買されている価格での海外資産をみなして評価を算出します。

地価の公示制度に基づく価格での算出

韓国においては、「不動産価格公示及び鑑定表に関する法律」が定められていますので
評価額5,000万円超の不動産評価については国外財産調書の提出対象です。

国内に預けているドル建資産の場合

国内に預けているドル建て資産は海外資産と見なされません。
例えば、日本の居住者であり、日本国内の銀行に米ドル建定期預金を預けていたとします。
満期を迎えるにあたり、円安基調で利益が出ても、これは総合課税の雑所得にあたり海外資産の対象とはなりません。ですが「ペイオフ」の対象とはなりませんので、万が一、銀行が破綻する様な状況となれば預金保険制度の対象外となり保護されません。

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国外財産調書制度申告しないと罰則

正当な理由もなく期限内に国外財産調書を提出しないと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります。内容の虚偽申告も同懲罰の対象になります。

国外財産調書を申告するも記載ミスした場合

期限内に国外財産調書を提出しても、記載が不十分と認められる場合には罰則が科されます。海外資産に関して所得税の申告漏れが生じた際、過少申告課税等が5%加重されます。

国税庁の国外財産調書の提出状況によると、加重措置、軽減措置を合わせて年間で約400件以上も報告されています。決して少ない事案でもありますのでしっかりと税理士さんを相談した上での記載を心がけましょう。

また、「財産債務調書」についても提出がない場合又は申告記載もれがあった場合、過少申告課税等が5%加重されます。

「財産債務調書」の提出も必要 

財産債務調書制度とは、所得ベースで金額の高い方が税務署に提出する制度です。。

財産債務調書の提出義務者とは、所得税の申告する者が、所得税金額の合計2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において有する資産の額の合計額が3億円(有価証券については1億円)以上の方が該当します。

上記に該当する資産をお持ちの方は国外財産調書と併せて、財産債務調書の提出も必要になりますので注意が必要です。

海外への高額な送金を行う際に気をつけること  

海外への高額な送金についても税務署に報告が必要です。
国内から海外銀行口座への送金又は海外から国内銀行で受領する場合、
規定により送金額3,000万円相当額を超える場合には報告することが義務付けられています。

租税回避のための海外への送金に注意  

租税回避のため海外にいる方に、送金を行った場合、贈与税の対象になります。
国内に住まずに、海外暮らしをしても日本に国籍がある又は、贈与を開始前10年以内に日本に住所があった方は贈与税の対象になり注意が必要です。

しかし、制限納税義務者への海外留学などの、実際に生活費や養育費として使用していれば贈与税の対象外になります。

国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設、いわゆる「出国税」

国外転出をする場合において株式等の未実現利益に関して課税されます。
一定の要件を満たす国外転出者を対象者において、保有する株式等にかかる未実現の含み益に対して課税する制度が設けられました。

対象となるのは、合計額1億円以上の有価証券の価額、未決済信用取引及び未決済デリバティブ取引決済の利益額又は損失額が1億円以上ある方です。

設立された背景は、キャピタルゲインが非課税の国に転出することで租税回避することを防ぐためとされています。

一時的な国外転出の場合は納税を猶予する制度措置がありますが、注意が必要です。

まとめ

今回は海外資産を多く保有する方に向けて記事にしました。
2020年の税制改正により、海外口座の預貯金の入出金の取引記録保管も義務付けられ、これからも海外資産に関しては厳重な管理が必要になります。
納めていたつもりが、申告の不備により追徴税を支払うのはもったいないことです。

申告期限は翌年の3月15日までですので、申告に漏れがないよう、早めの準備が必要です。国外財産調書および海外のお金に関するご相談はOSSJまでお気軽にご相談ください。

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