【2024】海外で死亡したら遺体はどうなる?搬送の流れや必要書類・費用を解説
海外で生活している際、不慮の事故や病気で亡くなる場合もあります。「海外邦人援護統計」によると、2012年から10年間で平均約500人以上の日本人が亡くなっています。
海外で亡くなった場合、遺族の対応方法がわからない方もいるのではないでしょうか。
今回は、海外在住者が現地で亡くなった場合の遺体搬送の流れや必要書類について解説します。記事の後半で、搬送費用やその他の諸経費についても説明しておりますので、参考にしてください。
万が一海外で死亡した場合、自分の遺体はどのように搬送されるのか説明します。
家族に連絡が入る
日本人が海外で亡くなった場合、現地の警察から日本大使館へ情報が入ります。その後、外務省を経由してご遺族のもとに連絡が入ります。
このとき、ご遺族は故人の身元確認のために現地に渡航する必要があります。
遺族が現地へ渡航する
連絡を受けたご遺族は、現地の在外公館に連絡を行い、ご遺体を引き取る日時の調整を行います。また、海外渡航するために、パスポートや宿泊施設の手配も必要です。
無事に渡航してから、現地の大使館と協力し故人が引き取られた病院などで身元確認を行います。
その後、必要書類の入手方法や遺体搬送の手続きなどを現地の大使館と相談しましょう。
日本での葬儀を手配する
ご遺体を引き取る日時が決まれば、日本での葬儀手配も必要です。日本の葬儀会社に連絡を入れ、ご遺体を空港から自宅へ、もしくは、葬儀会社まで搬送する寝台車の手配を行いましょう。
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東南アジアからご遺体搬送にかかる時間
故人が住んでいた国から日本まで、どのくらいの移動時間がかかるかについても事前に把握しておくと安心です。香港・台湾から日本への移動時間は4〜5時間程度、そして東南アジアであるタイ・フィリピンから日本への移動時間は6〜8時間程度です。
日本から遠い距離にある国ほど、フライト時間は長くなります。故人が住んでいた国への直行便がない場合はさらに時間がかかるため注意しましょう。
海外から日本への搬送に必要な書類
この章では、海外で死亡した人の遺体搬送の手続きに必要な書類を説明します。
故人のパスポート
現地から出国の際には、身元確認に気がご遺族のパスポートだけではなく、故人のパスポートも必要です。
故人のパスポートは、帰国後返納手続きが必要となります。手続きには、戸籍謄本等(除籍謄本)の故人が亡くなった事実がわかる証明書が必要です。
特に、罰則はございませんが、紛失すると悪用される恐れもありますので、帰国後はすみやかに大使館へ返納しましょう。
死亡診断書
死亡診断書は、日本で死亡届を申請するのに必要な書類です。故人が移住先の病院で亡くなった場合、医師から死亡診断書が発行されます。
死亡診断書が外国語のものであれば和訳文の添付をしなければなりません。そのため、故人が亡くなった病院へ和訳診断書の発行が可能かを確認します。もし和訳の診断書が発行できない場合は、翻訳をしてくれるサービスに別途依頼する必要があります。
死亡証明書(死亡届)
海外で亡くなった場合、3ヶ月以内に現地にある、日本大使館・領事館に死亡についての届け出が必要です。
死亡届の提出書類は、「死亡診断書の原本」ですので、原本返却はありませんので、以後の保険金請求や他の証明書として写しを大切に保管しておきましょう。
エンバーミング証明書(防腐処置証明書)
エンバーミングとは、遺体に防腐処置や修復を施す処置のことです。
エンバーミングを施すことで、ご遺体が感染していないか、国際間の遺体搬送に問題がないかなどを証明できます。
つまり、エンバーミング証明書があることで、日本への遺体搬入許可がおり、日本までご遺体を衛生的に搬送することができます。
また、棺の中にご遺体以外のものが入っていないこと、いわば、武器や麻薬などを密輸していないことを証明する書類にもなります。
その他の必要書類
紹介した書類以外にも、コロナなどの疫病に非感染なことを証明する「非感染症証明書」、ご遺体を棺に入れたことを証明する「納棺証明書」、棺の中が亡くなられたご本人だと証明する「遺体証明書」が必要になるケースがあります。
必要書類は国によって異なる
遺体搬送のために必要な書類は国によって異なります。タイ、フィリピンでは、防腐処置証明書が必要になりますが、国によっては防腐処置証明書(エンバーミング)の規定はない国も存在します。
ほとんどのケースでは代理業者が仲介に入り必要書類を準備してくれますが、もしご遺族が対応しなければならない場合は、現地国の在外公館に相談してから書類を申請することが望ましいでしょう。
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遺体搬送にかかる費用
海外からの遺体の搬送費用は総額100万〜150万程度といわれています。
搬送費用の内訳については下記の通りです。
内訳 | 費用 |
---|---|
遺体搬送(航空費用) | 約15万〜50万円 |
空港まで搬送・諸経費 | 約50万〜70万円 |
エンバーミング費用 | 約15万〜25万円 |
遺体搬送費用
フライト時間の長さや気温が高い東南アジアからの搬送の場合、ドライアイスの量も多くなるため料金が割高になる可能性があります。
空港までの搬送費用
故人が住んでいた国の空港までの遺体搬送車の手配、及び日本へ帰国後の自宅、または葬儀場までの搬送の手配にも費用がかかります。
日本へ帰国してからの遺体搬送は、依頼した葬儀会社によっては空港から対応してくれる場合もありますので事前に確認しておきましょう。
エンバーミング費用
エンバーマーと呼ばれる専門資格を持った方に依頼するため、日本円にして約15~25万円程度の費用がかかります。ご遺体の状態によって料金が変動するため、処理前に料金を確認するようにしましょう。
上記3つの費用以外に、ご遺族の渡航費が別途発生します。亡くなった故人が海外保険に加入している場合、遺族の渡航費も補償される可能性もありますので、領収書や渡航の記録になるものは大切に保管しておきましょう。
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加入していた海外旅行障害保険で補償される場合も
故人が海外旅行保険や移住者用の保険に加入していた場合、契約内容によっては死亡した場合にかかる費用が保証されることもあります。
遺族が身元確認のために渡航した費用や、証明書類等の発行費用についても保険が適用される可能性があるため、かかった費用の領収書などは、大切に保管をしておきましょう。
海外に永住しているか、または一時的な滞在で日本に戻る予定であったかで保険の適用範囲が異なります。今後、海外保険の加入を検討されている方は、保険会社に相談しておくことが望ましいでしょう。
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万が一のために事前に家族で相談を
今回は、海外で死亡した場合の対応方法について解説しました。事前に万が一のケースを想定し、対応方法や依頼する葬儀会社などについて、事前に家族で話し合っておくと安心です。
海外へ移住する方の場合は、そのまま移住先の国で人生を終える可能性が高くなります。そのため、死亡証明書などの手続きをしてくれる代理業者や葬儀会社などは、在外公館を通じて日本人の対応実績のある業者への相談をすると良いでしょう。
他にも、亡くなられた方が保有していた海外口座の解約や、お金のお困りごとについては、OSSJでもサポートを行っています。ご不安なことや質問などございましたらこちらからお問い合わせください。