海外株式投資で配当や売却益に対しての税金はどうなる?確定申告の方法を合わせて紹介
「海外株式投資を始めたけど、納税をどうしたらいいかわからない」
「これから海外株式投資を始めたいけど、税金のことがわからなくて進められない」
投資先の国や居住国の税制を理解していないと、知らない間に脱税してしまう可能性が出てきます。
こういった方のために本記事では、以下の内容を記しています。
- 海外株式投資は投資先の国と居住国の税制知識が必要
- アジア各国の税制例
すでに海外移住して、海外居住者となっている方にはもちろん、これから海外赴任をして株式投資をする予定の方にもお読みいただきたい記事となります。
本記事から税金の知識を蓄えたうえで、株式投資を行ってみてください。
株式投資は「居住国」と「投資先の国」の2か所で税金が発生します。
投資先の国で発生する税金について
一例として、タイ在住の方が、タイからアメリカへ投資した場合は売買益・配当・利子で得たそれぞれの利益に対して、以下のように課税されます。
居住国 = タイ 投資先国 = アメリカ
-
キャピタルゲイン(売買益)
タイ0% +アメリカ0% = 0% -
インカムゲイン(配当)
タイ10% +アメリカ10% = 19% -
インカムゲイン(利子)
タイ15% +アメリカ10% = 23.5%
右側のアメリカ0%や10%と書かれた部分が「投資先の国で発生する税金」で、投資先の国がアメリカ以外の国となった場合でも税金が発生します。また今回の例では「タイ居住者」となっていますが、同じように居住国が「香港」や「ベトナム」となった場合でも同様です。
税率の%については、投資先の国と居住国が租税条約を結んでいるかどうかでも税率が変わってくるので、複雑な知識を要します。
参考動画:https://youtu.be/6UE6iF55UyQ
IB証券のサイトでは配当金(インカムゲイン)の課税について以下のように記載されています。
以下引用:
The rate at which IBKR is obligated to withhold for a given payment depends largely upon whether there is a tax treaty in place between the US and the country of residence of the dividend recipient.
訳:IB証券がおこなう源泉徴収の義務を負う税率に関しては、米国と配当金受取人の居住国間で租税条約が締結されているかどうかに大きく依存する。
IB証券の例のように、投資先の国で発生する税金については、主にご利用の証券会社が取引時に税金を徴収する形となりますが、投資先でも税金が発生していることを頭に入れておきましょう。
居住国で発生する税金
上記例の居住国「タイ」にあたる税金です。
日本の場合は20.315%ですが、香港の場合は非課税となる場合もあります。
以降の章ではタイ・香港・ベトナムの海外移住者・海外居住者となった人がどういった税金を支払う必要があるのか、居住国で発生する税金について解説しています。
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海外在住者が株式投資をした場合の各国の納税方法と税率
本章ではタイ・香港・ベトナムの3カ国の海外移住者・海外居住者が居住国に納める税金を紹介します。
タイ
タイの課税年度は1月1日〜12月31日で、同一課税年度(購入と同じ課税年度で売却)で得た利益に対しては、所得税として0%〜35%の間で課税額が決まります。売買を同一課税年度内で完結しなかった場合は非課税となります。
配当や利子での利益に対しても源泉徴収税が課税され、配当に対する課税は最高で10%、利子に対する課税は15%課税されます。
上記のように課税年度は1月1日〜12月31日で、翌年3月までに確定申告が必要です。全世界所得課税方式なので、海外赴任等でタイの海外居住者となっている場合でも日本で給与所得がある場合は、タイと日本の給与を合算して申告しなければいけません。
香港
香港では基本的に株式の売買による利益、配当や利子に対しては課税されません。
株式の売買による利益、配当や利子に対しては課税されないことがありますが、株式の売買は「資本的な取引」と「トレーディング取引」の2つにカテゴリ分けされ、資本的な取引の場合は非課税となります。明確な判断基準がなく税務局で判断によりきまります。
このように香港の税制は複雑で状況によっては課税されることがあるので、税務知識に詳しい専門家等へのお問い合わせをおすすめいたします。
ベトナム
ベトナムでは株式売買による利益に対して所得税が課せられ、日本と同じ累進課税方式で、所得によって5%〜35%の間で納税する必要があります。配当と利子には源泉徴収税が課せられ、双方とも最高5%の納税が必要です。
課税年度は1月1日〜12月31日で、翌年1月1日〜3月31日の間に確定申告を行います。
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海外株式投資で納税を行う場合は居住国の税制に留意
投資する国と居住国の税制に関する知識が必要ですが、投資先の国ではご利用の証券会社が徴収することがほとんどなので確定申告で主に必要となる知識は、居住国に関する税制です。
アジアの国は税率が低い国があり、キャピタルゲインとインカムゲインそれぞれ税金がかからない国があります。自身の居住国では株式の売買益や配当、利子にどの課税方法でどれだけ課税されるかを調べて、確定申告を行ってください。
また全世界所得を申告しなければいけない国の場合は、居住国の給与と日本を含む海外での給与所得全てを合算して申告する必要があるので注意が必要です。
各国の税制を理解するのは難しく、外国語で確定申告書類を作成する必要があるので、海外税務に詳しい専門家のご紹介を含め、OSSJまでお気軽にご相談ください。