【2024】日本人が海外で死亡するとどうなる?海外の葬式費用や金融口座の行方を解説
海外に住んでいるけれど、自身が亡くなった際に遺体や葬儀はどうなるのかが不安とお悩みではありませんか?海外で葬儀が行われるのか、日本の家族のもとに遺体を送ってもらえるのかなど、知っておきたいことがいくつかあるかと思います。
この記事では、日本人が海外で死亡した場合の対応を国別に解説します。死亡した場合にかかる費用や、死亡後の自身の金融口座の行方についても記載するので、海外在住の方はぜひ参考にしてください。
海外で日本人が死亡するケースは少なくありません。病気や寿命で亡くなる人もいれば、事故や事件に巻き込まれて死亡するケースもあるため、何が起こるかわからないと考えておきましょう。
ここでは、日本人が海外で死亡する理由を解説します。
疾病による死亡がトップ
海外における日本人の死亡理由で最も多いのが疾病です。居住先の国で何らかの病気に感染し、そのまま亡くなるケースも少なくありません。
2000年度の海外での日本人死亡者数は447人で、そのうち疾病によって亡くなった人は247人です。死亡者数の半数以上を占めていることから、居住先ではウイルスの感染に注意しなければなりません。
死亡する割合は年々増加
日本人が死亡する割合は年々増加傾向にあります。1991年の死亡者数は307人でしたが、2012年に537人、2021年に580人と増え続けています。
海外における日本人の死亡者が増えた背景には、海外に渡航する日本人が増えたことにあります。短期の旅行でもウイルスに感染したり、事故や事件に巻き込まれたりするリスクがある可能性があることを忘れずにいましょう。
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【国別】日本人が死亡した場合の対応
日本人が海外で死亡した場合、どのような対応がなされるのでしょうか。国別の対応を詳しく解説します。
マレーシア
マレーシアで日本人が死亡した場合、在マレーシア日本国大使館が以下の対応を行います。
- 遺体の身元確認
- 遺族への連絡
- 遺族のパスポートの緊急発給
- 遺体の火葬や日本への搬送に対するアドバイス
タイ
タイで日本人が死亡した場合、遺族がモラナバットと呼ばれる死亡登録証の取得や大使館領事部での手続きを済ませなければなりません。死亡登録証には遺体を日本に搬送するか、タイで葬儀を行うかを記載する必要があるため、取得前に対応を決めておきましょう。
大使館領事部の手続きの際には死亡登録証が必要です。遺体証明書の申請と死亡した人のパスポートの失効処理をしてくれるため、必要なものを用意したうえで足を運びましょう。
ベトナム
ベトナムで日本人が死亡した場合は、遺族が日本大使館・総領事館で手続きを済ませなければなりません。手続きの際には死亡届書と外国官公署が発行した死亡登録証明書、死亡登録証明書を和訳した書類が必要です。和訳した書類には翻訳者の名前を記載しておきましょう。
ただし、日本で遺体や遺骨の埋葬を行う場合は、死亡の届け出は必要ありません。ベトナムで手続きを済ませてしまうと、届出書が外務省経由で日本に届くため、到着までに時間がかかります。
火葬や埋葬が遅れる可能性があるため、必要書類を用意したうえで、日本で手続きを済ませましょう。
アメリカ
アメリカで日本人が死亡した場合は、在アメリカ合衆国日本国大使館に死亡の届け出を行います。届け出に必要な書類は以下の通りです。
- 死亡届
- 英語の死亡証明書
- 死亡証明書の抄訳文
- 死亡した人のパスポート
- 死亡した人がアメリカでの滞在を証明する書類
- 届け出る人の本人確認書類
抄訳文とは、原本の必要な部分のみ抜粋して翻訳した文章です。必要事項を日本語に訳した書類を提出しましょう。日本で火葬や葬儀を行う場合は、アメリカで届け出ず、日本で手続きを済ませることがおすすめです。
イギリス
イギリスで日本人が死亡した場合、在英国日本国大使館に必要な書類を提出しなければなりません。提出する書類は以下の通りです。
- 死亡届
- 死亡証明書
- 死亡証明書の和訳
- 死亡者のパスポート
- 届け出る人のパスポート
- 申述書
書類の提出は郵送でも可能です。イギリスで手続きを済ませると、日本で葬儀や火葬の予約がスムーズに取れない恐れがあります。帰国後に葬儀を行う場合は、日本で死亡届の手続きを済ませましょう。
香港
香港で日本人が死亡した場合、在中国日本国大使館に以下の書類を提出しなければなりません。
- 届出人のパスポート(届出人が中国人の場合は身分証明書)
- 死亡届2通
- 死亡医学証明
- 死亡医学証明の和訳
- 死亡者のパスポート
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死亡した場合にかかる費用
海外で日本人が死亡した場合、葬儀を行う場所に応じてかかる費用が変わります。ここでは、海外で葬儀を行うケースと、日本に遺体を搬送するケース別の費用を紹介します。
海外で葬儀を行う場合
海外で葬儀を行い、遺骨を日本に持ち帰る場合の費用は、住んでいる国や地域によって異なります。葬儀をする場合は日本にいる遺族も参加するため、遺族分の渡航費用や宿泊費が必要だと考えておきましょう。
たとえば、マレーシアで葬儀を上げる場合は、4~20万円の葬儀費用がかかります。宿泊費用は1人あたり5,000円~、渡航費は往復で5万円~です。自身が死亡し、日本から遺族が1人来てマレーシアで葬儀を行う際の総費用は、安くても10万円はかかると考えておきましょう。
火葬費用や葬儀費用が高く設定されている国や地域が少ないので、遺族の渡航費用と宿泊費用に数万円~10万円程度を加算した金額が必要となります。万が一に備えるのであれば、日本にいる遺族に前もって金額目安を伝えておきましょう。
日本に遺体を搬送する場合
日本に遺体を搬送し、葬儀を行う場合の費用は、少なく見積もっても100万円以上はかかると考えておきましょう。日本に搬送する前に、遺体の腐敗を遅くするエンバーミングという処置を施さなければなりません。
エンバーミングの費用に加え、100~150万円の搬送費用もかかるため、高額の費用が必要です。日本での葬儀を希望するのなら、遺体の搬送費用を貯蓄しておく、または全額まかなえる生命保険に加入するなど、お金に対する備えを万全にしておきましょう。
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死亡後の金融口座はどうなる?
海外在住の方の多くは、住んでいる国の金融口座を所有しているかと思います。日本であれば故人の金融講座を引き出せるものの、海外の金融口座だと遺族が引き出せないのでは?と不安を覚えるでしょう。
ここでは、海外在住者が死亡した際の金融口座の取り扱いについて解説します。
大陸法の場合
ヨーロッパ大陸の国の法制である大陸法は、日本と制度内容が似ているため、預金口座からスムーズにお金を引き出せます。口座のお金を引き出す際に必要な書類は以下の通りです。
- 死亡診断書
- 相続関係図
- 遺産分割協議書
- 委任状
書類はすべて英語に翻訳する必要があり、翻訳者は公証人の前で真実性を証明し、署名しなければなりません。署名後に外務省からアポスティーユを付けてもらい、海外の金融機関に郵送します。
アポスティーユとは、日本で作成された文書を海外の官公庁に提出する際、日本の公的機関で発行された正式な書類だと証明する付箋です。アポスティーユがないと手続きをスムーズに進められないため、郵送時に必ずつけてもらいましょう。
英米法の場合
イギリスやアメリカなどの国の法制である英米法は、遺産分配にプロベートという方法を採用しており、大陸法と大きく異なります。
大陸法は遺族間で話し合った内容を遺産分割協議書にまとめて提出するだけでしたが、プロベートは遺産の分配に裁判所が介入します。故人の遺産は財団に入れられ、裁判所が任命した代表者が遺産分配の手続きを進めなければなりません。
日本とは違い、裁判所が介入することから手続きが非常に複雑で、時間がかかるといわれています。英米法が適用となる国に住んでいる方は、死去後の手続きを専門家に任せるよう遺族に伝えることがおすすめです。
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まとめ
海外で日本人が死亡した場合の対応例や、死去後の金融口座の取り扱いなどを紹介しました。海外で葬儀をするか、日本に遺体を搬送するかによって死亡届の手続き先が異なります。万が一に備えて、遺族に自身が希望する葬儀場所を伝えておきましょう。
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