海外在住者も固定資産税の支払いが必要!?知っておきたい手続きと不動産購入時の税金も解説!
「海外赴任中の固定資産税がどうなるか不安」
「手続きの方法が知りたい」
こんな悩みをお持ちではありませんか?
海外赴任が決まると税金関係の手続きが気になりますよね。
今回は、海外赴任中の固定資産税支払い方法や、海外在住で日本の不動産を買った場合の税金について解説します。
海外赴任の税務についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
目次
- 1 海外在住者・非居住者の固定資産税はどうなる?
- 2 海外赴任時に固定資産税を払う方法
- 3 納税管理人とは?
- 4 納税管理人を設定しないとどうなる?
- 5 納税管理人の選出と届け出
- 6 そもそも固定資産税とは?対象になる資産とは?
- 7 固定資産税とは?
- 8 固定資産とは?
- 9 固定資産税の納付はいつ?
- 10 都市計画税とは
- 11 固定資産税・都市計画税の軽減措置
- 12 海外赴任中に日本の不動産を買うと発生する固定資産税以外の税金
- 13 印紙税
- 14 登録免許税
- 15 不動産取得税
- 16 減額特例や軽減税率は受けられる?
- 17 固定資産税は日本だけ?東南アジア各国の固定資産税について解説
- 18 香港の場合
- 19 ベトナムの場合
- 20 まとめ:海外赴任の固定資産税は納税管理人を設定しよう
海外在住者・非居住者の固定資産税はどうなる?
日本に不動産を所有している状態で海外へ赴任しても、固定資産税は課税されます。
「日本にいないのにどうやって固定資産税を払うのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
詳しくは後述しますが、海外へ転出する方は納税管理人を定めた上で税金を納付します。
納付が確認できない場合には帰国後に一括納付したり延滞金が発生したりする場合もあるので忘れずに手続きをしておきましょう。
海外赴任時に固定資産税を払う方法
海外赴任中は「納税管理人」を通じて納税手続きや税金の支払いを行います。
- 納税管理人とは?
- 納税管理人を設定しないとどうなる?
- 納税管理人の選出と届け出
この3点について確認していきましょう。
納税管理人とは?
納税の義務がある方の代わりに税金を管理する人のことを「納税管理人」といいます。
個人・法人どちらでも納税管理人として設定可能です。
単身赴任の場合は家族を納税管理人に選ぶ場合が多いですが、税務相談や確定申告書の作成を依頼する場合には税理士の資格を持つ方を選定する必要があります。
ただし、納税遅延などの責任は納税義務者が負うこととなるため注意しておきましょう。
納税管理人を設定しないとどうなる?
納税管理人を設定するのを知らなかったり忘れてしまったりした場合、納税通知書を受け取ることができません。
納税通知書を受け取れず納期限までに税金を納付しないと督促状が発送され、延滞金が加算される可能性があります。
税金だけは『知らなかった・・・』では済まない世界です。日本に一時帰国したら税金滞納で身柄拘束・・・までは行かないにしても『出国できない』みたいなことが起こらないように注意しておきましょう。
納税管理人の選出と届け出
納税管理人を設定するには、「納税管理人申告書」「納税管理人承認申告書」を提出します。各申告書は自治体ホームページからダウンロードして税務署に提出しましょう。
あて先は海外赴任者の納税地を所轄する税務署長です。
帰国後など、先に選任していた納税管理人を解任する場合は「所得税・消費税の納税管理人の解任届出書」を提出しなければなりません。
また、自治体によっては税金の支払いを口座振替できる場合があります。
詳しくは所轄の税務署に確認してください。
ただし口座振替の場合でも、納税通知書を受け取る納税管理人の選定は必須です。
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そもそも固定資産税とは?対象になる資産とは?
つづいて固定資産税の概要を確認しておきましょう。
固定資産税、都市計画税、それぞれの概要と軽減措置について解説します。
固定資産税とは?
固定資産税の対象となるのはどのような不動産なのでしょうか。
国が定める「固定資産」と「納付時期」について解説します。
固定資産とは?
税金が課される「固定資産」とは、1月1日の時点で固定資産台帳や登記簿に登録されている資産を指します。対象になるのは土地・家屋・償却資産の3種類です。
土地とは、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林などです。また家屋とは、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む)、倉庫などをいいます。
さらに償却資産とは、土地・家屋以外の事業用資産のこと。事業のために使っている構築物、機械、工具、器具、備品等の固定資産を指します。
具体的には厨房や屋外の給排水設備、漁船からプリンターなど。土地・家屋以外のさまざまな資産を償却資産と呼びます。
固定資産税の納付はいつ?
固定資産税は国税ではなく地方税です。
納付時期は自治体ごとに異なりますが、6月・9月・12月・2月の年4回となる場合が多いでしょう。一括払いも可能です。
毎年4~6月頃に振込用紙と納税通知書が郵送されるので、記載の案内に従って支払います。納税通知書には、納付する税額や期限、固定資産税評価額などが記載されています。確認の上、納期限までに必ず支払うようにしましょう。
都市計画税とは
固定資産税のほかに、不動産に関わる税として都市計画税があります。
都市計画税とは「市街化区域」と呼ばれる対象の区域に土地や家屋を所有している場合に課せられます。その区域の発展や整備に使われる、使い道の決まった税金です。
固定資産税・都市計画税の軽減措置
固定資産税と都市計画税には軽減措置があります。
住宅用地に対する軽減措置と新築住宅に対する軽減措置です。
住宅やアパートなど、住宅用地であれば固定資産税および都市計画税にかかる課税標準額が軽減されます。
また、令和6年(2024年)の3月31日までに新築した住宅が一定範囲内の床面積だった場合にも固定資産税は減額対象です(都市計画税は対象外)。
新しく課税される年度から原則3年間(認定長期優良住宅は5年間)、固定資産税額が2分の1になります。
海外赴任中に日本の不動産を買うと発生する固定資産税以外の税金
「海外赴任中に日本で住居を買いたい」
「投資のために日本の不動産を買いたい」
という方もいるでしょう。海外に住んでいても日本の不動産は購入できます。
海外赴任中に日本の不動産を購入すると課税される税金は、固定資産税のほかにも複数あります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
この3つが該当するので、それぞれ確認していきましょう。
印紙税
印紙税とは、国税であり、日本国内において契約書や証書を作成する際に課されます。
印紙税法で定められている20種類の文書に対して課税され、住宅購入時においては不動産売買契約書や建築工事契約書などが対象です。
課税対象の文書に収入印紙を貼り消印を押す形で納税します。
ただし、印紙税は国税のため、課税文書の作成が国外で行われる場合には課税されません。文書に基づく権利の行使が国内で行われる・文書の保存が国内で行われる場合でも同様です。
登録免許税
登録免許税とは、登記手続きと住宅ローン借り入れに対して課税される税金です。
固定資産税評価額または法務局認定の課税標準価格に税率をかけて算出されます。
税率は以下の通りです。
- 土地の所有権移転登記は2.0%
- 住宅用家屋を新築したときの所有権保存登記は0.4%
- 中古住宅の所有権移転登記は2.0%
- 住宅ローン借り入れ時は借入額×0.4%
また、登録免許税には軽減措置があり、長期優良住宅の認定有無や登記簿上の床面積などいくつかの条件によって税率が軽減されます。
不動産取得税
不動産取得税とは、その名の通り不動産を購入する際に課税される税金です。
課税額は「取得した不動産の価格×税率」で算出します。
2008年4月1日〜2024年3月31日までに取得した宅地などは不動産価格が1/2として評価されます。
また、税率は2008年4月1日~2024年3月31日までに取得した土地と住宅が3/100、非住宅の家屋が4/100です。
海外赴任中の不動産取得税は納税管理人を置くことで対応しましょう。
減額特例や軽減税率は受けられる?
海外赴任中、非居住者は、新築住宅家屋の購入で不動産取得税1,200万円控除の特例が受けられます。
しかし中古住宅の場合、1,200万円の不動産取得税控除を受けるには居住することが条件です。
耐震適合中古住宅および耐震基準に適合しない中古住宅(取得後6カ月以内に耐震改修を行い耐震基準適合証明を得た場合)に関しては減額特例の適用が受けられません。
また、住宅用家屋の登録税軽減税率(一定の条件を満たす住宅の所有権保存登記、所有権移転登記、住宅取得資金の貸付に係る抵当権登記など)についても自己の居住が適用条件となっています。非居住者の場合は軽減税率が適用されないので注意しましょう。
固定資産税は日本だけ?東南アジア各国の固定資産税について解説
固定資産税は日本だけの税制ではありません。
たとえば、アメリカには不動産税(Property Tax)がありますし、イギリスは地方税(Council Tax)があります。これらの税制も、不動産の所有者に対して課されるものであり、地域や評価方法によって税額が決定されます。
また、タイなど最近になって固定資産税が課税されるようになった国も。
今回は香港とベトナムについて、それぞれの固定資産税を確認してみましょう。
香港の場合
香港では、不動産を所有すると固定資産税と政府地代がかかります。さらに所有する不動産の貸し出しなどにより収入を得ていると資産所得税も課税されます。
固定資産税は、香港政府が毎年公表する推定賃貸価格の5%を課税。
不動産所有者と借り手が納税することを原則としていますが、一方のみが納税することも可能です。多くの場合は不動産所有者が納税しています。
ベトナムの場合
ベトナムには、日本の固定資産税と同様の税制はありません。
しかし、ベトナムで不動産を購入する際は下記の税金がかかります。
- 土地を登記する際の登録税(購入代金の10%)
- 不動産契約時の付加価値税(価格表に基づく価額の0.5%)
- 修繕積立金(販売価格の2%)
また、不動産を貸し付ける際には個人所得税(賃料収入の5%)と営業許可税が発生します。
まとめ:海外赴任の固定資産税は納税管理人を設定しよう
今回は、海外赴任における固定資産税の扱いについて解説しました。
日本に住所がない非居住者となっても、日本国内に不動産を所有していれば固定資産税が課税されます。納税管理人を立てて納税しましょう。
また、海外赴任中に日本の不動産を購入する際は固定資産税の他に
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
が課税されます。減額特例や軽減税率は海外赴任で非居住となる場合適用されないことがあるため確認しておくのがおすすめです。
今回は、海外在留邦人としての固定資産に関する一般的な知識を纏めてみました。必要であれば専門家のご紹介をいたします。また海外におけるお金に関するお悩みについてはOSSJまでご相談ください。
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